先に結論

解散を決める方法が、会社の種類で違います。合同会社は総社員の同意で解散します(会社法641条3号)。ここでいう「社員」は出資している人のことで、従業員ではありません。合同会社・合名会社・合資会社をまとめて「持分会社」と呼びます。定款で存続期間や解散の事由を定めていれば、その満了や発生でも解散します(同1号・2号)が、3号の「総社員の同意」に定款の定めという条件は付いていません。社名に「有限会社」と付く特例有限会社は法律の上では株式会社として扱われますが、解散の決議だけは要件が置き換えられています。株主の頭数で半分以上、かつ総株主の議決権で4分の3以上の賛成が必要です(整備法14条3項)。通常の株式会社は、議決権の3分の2以上の特別決議です(会社法309条2項11号・471条3号)。

登記にかかるお金は、会社の種類が変わっても同じです。会社の解散の登記が1件につき3万円、清算人・代表清算人の登記が9千円、清算の結了の登記が2千円です(登録免許税法 別表第一24号)。官報の公告は、合同会社には必要です(会社法660条1項)。この条文のかっこ書きが「合同会社に限る」としているので、合名会社と合資会社には、この公告の定めがありません。

借入や買掛金を払いきれないことが明らかになったときは、進め方が変わります。清算人は直ちに破産手続開始の申立てをしなければなりません(株式会社・特例有限会社は会社法484条1項、持分会社は同656条1項)。申立てを怠ること、債権の申出期間内に弁済すること、債務を払う前に社員・株主へ分配することは、どれも100万円以下の過料の対象です(同976条27号・29号・30号)。先に役員借入金を返す、残った現金を自分に分配する、という進め方はできません。

放っておいても、合同会社と特例有限会社は消えません。最後の登記から12年たった株式会社を法務大臣の公告で解散したとみなす定めは、株式会社だけのものです(会社法472条1項)。社名に「有限会社」と付く会社には適用されず(整備法32条)、持分会社にも同じ定めはありません。登記すべき事項を登記しないままにすると、清算人や業務を執行する社員が100万円以下の過料の対象になります(会社法976条1号)。

合同会社・特例有限会社・株式会社:たたむときに違うところ
項目合同会社特例有限会社(社名が「有限会社」)株式会社
解散の決め方総社員の同意(会社法641条3号)。定款で定めた存続期間の満了・解散の事由の発生でも解散する(同1号・2号)総株主の半数以上であって、総株主の議決権の4分の3以上(整備法14条3項)議決権の3分の2以上の特別決議(会社法309条2項11号・471条3号)
登記に添える主な書類総社員の同意書。株主リストの制度は持分会社にはない株主総会議事録(または319条1項の同意書)と株主リスト(商業登記規則61条3項)株主総会議事録(または319条1項の同意書)と株主リスト(商業登記規則61条3項)
清算人業務を執行する社員。定款で定める者、社員の過半数の同意で定める者があればその者(会社法647条1項)取締役がそのまま清算人(会社法478条1項1号)。登記には清算人の住所も載せる(整備法43条2項)取締役がそのまま清算人(会社法478条1項1号)
官報の公告必要。債権の申出期間は2か月を下れない(会社法660条1項)必要。申出期間は2か月を下れない(会社法499条1項)必要。申出期間は2か月を下れない(会社法499条1項)
清算の承認社員の承認。1か月以内に異議がなければ承認したとみなす(会社法667条2項)株主総会が決算報告を承認(会社法507条3項)株主総会が決算報告を承認(会社法507条3項)
残ったお金定款に定めがなければ、各社員の出資の価額に応じて(会社法666条)株主の持つ株式の数に応じて(会社法504条3項)株主の持つ株式の数に応じて(会社法504条3項)
帳簿資料を保存する人清算人。定款か社員の過半数で別の人を定められる(会社法672条1項・2項)清算人(会社法508条1項)。裁判所が別の人を選任することはできる(同2項)清算人(会社法508条1項)。裁判所が別の人を選任することはできる(同2項)
みなし解散定めがない適用しない(整備法32条)最後の登記から12年たつと法務大臣の公告の対象(会社法472条1項)
払いきれないとき特別清算は使えない。明らかになれば清算人が直ちに破産手続開始の申立て(会社法656条1項)特別清算は使えない(整備法35条)。484条1項は適用されるので、明らかになれば直ちに破産手続開始の申立て債務超過の疑いがあれば清算人に特別清算開始の申立ての義務(会社法511条2項)。明らかになれば484条1項

表は横にスクロールできます

解散と清算の言葉の違いは解散と清算は何が違うかの記事に、提出先ごとの手続きの一覧は法人の廃業手続き一覧の記事にまとめています。合名会社・合資会社は660条1項の公告の対象外ですが、任意清算を選んだときは別の公告が要ります(本文で後述)。

登記の実費(登録免許税法 別表第一24号「会社又は外国会社の商業登記」)
登記1件あたり根拠会社の種類による違い
会社の解散の登記3万円24号(1)レ株式会社・合同会社・合名会社・合資会社を分けていない
清算人・代表清算人の登記9千円24号(3)イ分けていない
清算に係る登記事項の変更・更正・抹消6千円24号(3)ニ分けていない
清算の結了の登記2千円24号(3)ハ分けていない

表は横にスクロールできます

分けていないのは、この解散と清算の区分です。設立の登記は種類で分かれていて、合名会社・合資会社は6万円(24号(1)ロ)、株式会社と合同会社は資本金の額の1000分の7(最低額が株式会社15万円・合同会社6万円。同(1)イ・ハ)です。官報の掲載料・専門家の報酬・税金を含めた費目の並べ方は会社をたたむ費用の内訳の記事にまとめています。

解散から清算結了までに出ていく費用を、項目ごとに入れて整理する

この記事で整理すること

  • 解散の決め方は種類で違う。合同会社は社員全員の同意、「有限会社」は株主の頭数で半分以上かつ総株主の議決権で4分の3以上
  • 登記の登録免許税は、会社の種類が変わっても同じ。解散3万円・清算人9千円・清算結了2千円
  • 払いきれないことが明らかになったら、清算人は直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。先に役員借入を返す・残りを自分に分配するのは過料と取戻しの対象

全体の流れ:決議から清算結了まで

やる順番は、どの種類でも同じです。解散を決めて登記し、債権者に申し出てもらう期間を置きます。そのあいだに財産を売ってお金に換え、債務を払い、残りを分けます。最後に計算の承認を受けて、清算結了の登記をします。違うのは、決議の要件、登記に添える書類、清算人の決まり方、承認する相手、そして「払いきれないときに使える手続き」です。

下の図は合同会社の場合です。特例有限会社と株式会社では、総社員の同意が株主総会の決議に、社員の承認が株主総会の決算報告の承認に変わります。期限はどれも2週間ですが、数え始める日が違います。解散の登記は解散の日から2週間以内(会社法926条)、取締役や業務を執行する社員がそのまま清算人になる場合の清算人の登記も同じ期限です(同928条1項・2項)。定款で清算人を定めていた場合や、社員の過半数の同意・株主総会で別の清算人を選んだ場合は、選任の日から2週間以内です(同928条3項)。清算結了の登記は、計算や決算報告の承認の日から2週間以内です(同929条1号・3号)。

合同会社をたたむ流れ
  1. 総社員の同意会社法641条3号。書面に残す
  2. 解散・清算人の登記解散の日から2週間以内
  3. 官報の公告と各別の催告申出期間は2か月を下れない
  4. 財産の換価と債務の弁済払いきれないことが明らかなら破産の申立て
  5. 残余財産の分配債務を弁済した後でなければできない
  6. 社員の承認と清算結了の登記承認の日から2週間以内

特例有限会社・株式会社では、同意と承認の相手が株主総会になります。

登記の期限は、数え始める日が違う
  1. 解散の日から2週間以内解散の登記(会社法926条)。業務を執行する社員や取締役がそのまま清算人になる場合は、清算人の登記も(同928条1項・2項)
  2. 選任の日から2週間以内定款で定めた清算人、社員の過半数の同意や株主総会で選んだ清算人の登記(同928条3項)
  3. 承認の日から2週間以内清算結了の登記(合同会社は同929条3号、株式会社と特例有限会社は同929条1号)

解散を決める:合同会社は社員全員、特例有限会社は頭数と議決権の両方

合同会社は、総社員の同意で解散します(会社法641条3号)。出資の額に関係なく、出資している人の全員が同意しなければなりません。反対する社員が1人でもいると、この方法では決められません。なお、同条1号・2号の「定款で定めた存続期間の満了」「定款で定めた解散の事由の発生」は、総社員の同意とは別の解散事由です。3号の総社員の同意は、定款に何も書いていなくても使えます。

特例有限会社の解散は株主総会の決議ですが、要件が置き換えられています。整備法14条3項は、会社法309条2項の読み替えとして「総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の四分の三」としています。ここでの「当該株主」は総株主を指すので、頭数で半分以上、かつ総株主の議決権で4分の3以上です。「半数以上の株主が持つ議決権の4分の3」ではありません。株式会社は議決権の3分の2以上の特別決議です(会社法309条2項11号・471条3号)。

社員どうしで話がつかず、総社員の同意が取れないときの出口も条文にあります。やむを得ない事由がある場合には、持分会社の社員は、訴えをもって持分会社の解散を請求することができます(同833条2項)。使うかどうかは弁護士に確かめてください。

  • 先に見る書類:登記事項証明書(会社の種類)、定款(存続期間・解散の事由・清算人の定め)
  • 合同会社で確かめること:社員全員の連絡先と、同意をもらう方法
  • 特例有限会社で確かめること:株主の人数と、総株主の議決権の数

登記に添える書類:特例有限会社は株主リストが要る

株式会社と特例有限会社では、登記すべき事項について株主総会の決議を要する場合、申請書に「株主リスト」を添えます(商業登記規則61条3項)。上位10名か、議決権の割合を多い順に足して3分の2に達するまでの人数か、少ないほうの株主について、氏名・住所・持株数・議決権の数と割合を書いた書面です。解散の登記は株主総会の決議を要するので、ここに当たります。

見落としやすいのは、株主が1人のときです。同項のかっこ書きは「当該決議(会社法第三百十九条第一項…の規定により当該決議があつたものとみなされる場合を含む。)」としていて、総会を開かない319条1項のみなし決議も対象だと明記しています。「株主が1人だから同意書だけ」で出すと、補正か却下になります。

合同会社には、この株主リストの制度がありません。添えるのは総社員の同意書です。具体的な様式と添付書類は管轄の法務局の案内で確かめてください。

清算人を決める:合同会社は社員から、株式会社は取締役がそのまま

合同会社では、業務を執行する社員が清算人になります。ただし、定款で清算人を定めているとき、社員(業務を執行する社員を定款で定めた場合はその社員)の過半数の同意で清算人を定めたときは、その人が清算人です(会社法647条1項1号〜3号)。株式会社と特例有限会社では、取締役がそのまま清算人になるのが原則で、定款で定める者や株主総会で選任した者があればその人です(同478条1項1号〜3号)。

登記の期限は、誰が清算人になるかで数え始めが変わります。928条1項・2項が「解散の日から2週間以内」としているのは、478条1項1号・647条1項1号の者、つまり取締役や業務を執行する社員がそのまま清算人になった場合です。定款で定めた清算人(同2号)や、株主総会・社員の過半数で選んだ清算人(同3号)は、928条3項の「清算人が選任されたとき」に当たり、2週間の起算日は選任の日です。特例有限会社の清算人の登記には、氏名だけでなく住所も載せます(整備法43条2項)。

官報の公告:合同会社は要る。合名・合資は任意清算を選ぶと別の公告

合同会社は、清算が始まったら遅滞なく、官報へ公告を出します。お金を貸している人や請求できる人に、期限までに申し出てくださいと知らせるためです。期間は2か月を下ることができません。分かっている債権者には、一社ずつ個別に催告します(会社法660条1項)。公告には、この期間に申出をしないと清算から除かれる旨を付記します(同2項)。株式会社と特例有限会社も同じ仕組みです(同499条1項・2項)。

この660条1項は、かっこの中で「合同会社に限る」としています。だから合名会社と合資会社には、この公告の定めがありません。ただし、合名会社・合資会社は定款または総社員の同意で、解散した場合の財産の処分の方法を自分たちで定めること(任意清算)ができます(同668条1項)。その場合は別の公告が要ります。解散の日から2週間以内に、処分の方法に従って清算する旨などを官報に公告し、知れている債権者には各別に催告しなければなりません。異議を述べる期間は1か月を下ることができません(同670条2項)。期間を不当に定めると、499条1項・660条1項と同じく過料の対象です(同976条28号)。

清算の終わり:承認のみなしと、帳簿を誰が保存するか

合同会社は、清算事務が終わったら清算に係る計算をして、社員の承認を受けます(会社法667条1項)。社員が1か月以内に異議を述べなかったときは、承認したものとみなされます。ただし、清算人の職務の執行に不正の行為があったときは、このみなしは働きません(同2項ただし書)。株式会社と特例有限会社は、清算人が決算報告を作り、株主総会の承認を受けます(同507条3項)。

承認の日から2週間以内に、清算結了の登記をします(合同会社は同929条3号、株式会社と特例有限会社は同929条1号)。みなし承認で進めるときに、929条の「承認の日」をいつと見るかは、添付書類とあわせて管轄の法務局で確かめてください。

登記が済んだ後も、帳簿と事業・清算に関する重要な資料は、清算結了の登記の時から10年間保存します。保存する人が種類で違います。清算株式会社と特例有限会社は清算人です(同508条1項)。清算人以外の人に移せるのは、裁判所が利害関係人の申立てで選任した場合だけです(同2項)。持分会社は清算人が原則ですが、定款で、または社員の過半数をもって別の人を定めることができます(同672条1項・2項)。

借入が残っているとき、通常の清算のままでは進めない

ここは、順番を間違えると過料と取戻しが同時に来るところです。財産で債務を払いきれないことが明らかになったときは、清算人は直ちに破産手続開始の申立てをしなければなりません。株式会社と特例有限会社は会社法484条1項、持分会社は同656条1項です。整備法35条が特例有限会社に適用しないとしているのは会社法第二編第九章第二節(510条から574条までの特別清算)だけなので、第一節にある484条1項は特例有限会社にも適用されます。

株式会社では、まだ明らかではないが債務超過の疑いがある段階で、清算人に特別清算開始の申立ての義務があります(同511条2項)。合同会社などの持分会社と特例有限会社には、この道がありません。疑いの段階で止まったら、通常清算のまま進めずに弁護士に相談してください。

払いきれないかもしれないときに、やってはいけないこと
  • 破産手続開始の申立てを先延ばしにする(会社法484条1項・656条1項違反。同976条27号)
  • 債権の申出期間内に、取引先や自分への役員借入金を弁済する(同500条1項・661条1項違反。同976条29号)
  • 債務を払いきる前に、残った現金を社員や株主に分配する(同502条・664条違反。同976条30号)

申出期間内の弁済と、先に分配することが禁じられている理由

債権の申出期間(2か月以上)の中は、債務の弁済ができません(株式会社・特例有限会社は会社法500条1項、合同会社は同661条1項)。誰が債権者なのかを数え切る前に払うと、早く言った人だけが得をするからです。弁済できないからといって、その間の不履行の責任を免れるわけではないことも、同じ項に書かれています。少額の債権などは裁判所の許可を得て弁済できます(同各条2項)。

分配の順番も決まっています。債務を弁済した後でなければ、財産を株主・社員に分配できません(同502条・664条)。存否や額に争いのある債権のために必要な財産を留保した場合だけが例外です。この二つに違反して弁済や分配をすると、いずれも100万円以下の過料の対象になります(同976条29号・30号)。

さらに、その後に破産手続開始の決定を受けると、既に債権者に支払ったもの・株主や社員に分配したものを、破産管財人が取り戻すことができます(同484条3項・656条3項)。「先に自分の役員借入金を回収してから、残りでたたむ」という進め方は、過料と取戻しの両方に当たります。

会社をたたんでも、代表者個人の連帯保証は残る

会社の借入に代表者が個人で連帯保証をしている場合、会社の清算が終わっても、その保証契約が自動的に消えるわけではありません。会社の廃業と、個人の保証債務の整理は、別の手続きです。

保証債務の整理の枠組みとして「経営者保証に関するガイドライン」があり、経営者保証に関するガイドライン研究会が「廃業時における『経営者保証に関するガイドライン』の基本的考え方」(令和4年3月)を公表しています。この文書は、主たる債務者が廃業したとしても保証人は破産手続を回避し得ることが周知されることを目的に掲げ、ガイドラインに基づく保証債務整理の進め方を整理したものです。

注意したいのは入口の要件です。同文書は、主たる債務者が破産・民事再生・会社更生・特別清算といった法的債務整理手続の開始申立て、または中立かつ公正な第三者が関与する準則型私的整理手続の申立てを、ガイドラインの利用と同時に現に行っているか、それらが係属し、もしくは既に終結している場合を「廃業時」として想定しています。特別清算を使えない特例有限会社と持分会社では、入口が違ってきます。どの手続きを選ぶかで保証の整理の道が変わるので、会社の清算を始める前に弁護士と金融機関に確かめてください。借入や保証で手が止まっているなら、「廃業できない」と感じたときの記事で、何が止めているのかを先に切り分けられます。

社員や株主が1人の会社で、先に確かめること

社員や株主が自分一人なら、決議で止まることはありません。代わりに、書面の残し方と、自分がいなくなったときの扱いが問題になります。

1人の会社で先に見る三つ
同意・決議の残し方

総社員の同意書、または全株主の同意による決議の省略(会社法319条1項)と株主リスト

定款の相続の定め

持分会社は、社員が死亡した場合に相続人が持分を承継する旨を定款で定められる(同608条1項)

清算人を誰がやるか

自分でやるか、司法書士・税理士に頼むかを、登記と申告の回数で考える

決議は1人の同意で足りる。書面と株主リストは別に要る

合同会社で社員が1人なら、総社員の同意はその人の同意です。日付と内容を書いた同意書を作り、登記の添付書類にします。株式会社と特例有限会社では、株主全員が書面か電磁的記録で同意の意思表示をしたときに、株主総会の決議があったものとみなされます(会社法319条1項)。株主が1人なら、総会を開かずに同意書で足ります。

ただし、この場合も株主リストは要ります(商業登記規則61条3項)。同項が319条1項のみなし決議を明文で含めているためです。書面は、決議があったものとみなされた日から10年間、本店に備え置きます(会社法319条2項)。1人だから省いてよい、という扱いにはなりません。後で登記の内容を争われたときに、日付を示せるのが、この書面です。

社員が1人の合同会社は、その人が亡くなると解散する

持分会社は、社員が欠けたことによって解散します(会社法641条4号)。社員が1人の合同会社で、その社員が亡くなった場合、定款に相続の定めがなければ社員がいなくなるため、会社は解散します。相続人が自動的に社員になるわけではありません。

持分会社は、社員が死亡した場合に相続人その他の一般承継人が持分を承継する旨を、定款で定めることができます(同608条1項)。定めがあれば、その一般承継人は持分を承継した時に社員になります(同2項)。たたむか続けるかを考えている段階で、定款にこの定めがあるかどうかを見ておくと、相続のときに慌てずに済みます。社員が欠けたことによって解散した場合の清算人は、裁判所が選任します(同647条3項)。

清算人を自分でやるときに増える手間

清算人を自分でやれば報酬は要りませんが、登記の申請、官報の申込み、債権者への催告、財産の換価、申告の手配が自分の作業になります。登記は解散・清算人と清算結了で少なくとも2回あり、申告も解散の日までの分と清算中の分で複数回になります。

かかる期間も、先に見ておきたいところです。債権の申出期間は2か月を下れないので、その間は清算結了の登記ができません。どこまで自分でやるかは、資産・負債・契約がどれだけ残っているかで変わります。たたむか売るか決めかねているなら、決める前に自分に聞きたい10のことの記事で順番に整理できます。

費用:登記の額は同じ、変わるのは官報と、選ぶ手続き

登記の登録免許税は法律で額が決まっていて、冒頭の表のとおりです。官報の掲載料は行数で決まります。どちらも会社の種類では変わりません。変わるのは「官報の公告が要るかどうか」と、清算中に続く支出の長さ、そして通常清算で終わるか破産などに進むかです。

登記は少なくとも2回あります。解散と清算人の登記、そして清算結了の登記です。清算人を途中で替えれば清算人の登記が9千円、清算に係る登記事項の変更・更正・抹消は6千円(別表第一24号(3)ニ)が追加でかかります。清算中の事業年度にかかる法人住民税の均等割と、事業年度が1年に満たないときの月割の扱いは、会社をたたむ費用の内訳の記事に整理しています。

専門家の報酬:額ではなく、どこまで含むかを聞く

司法書士・税理士・弁護士の報酬は、依頼する範囲と登記・申告の回数で決まります。公的な料金表がないので、この記事では金額を書きません。見積もりを取るときに聞くのは、解散と清算結了の2回の登記が含まれるか、官報の申込みを代行するか、解散の日までの申告と清算中の申告がそれぞれ何回ぶん入っているか、債権者への催告の文面を作るか、です。

合同会社と株式会社で作業が大きく変わるわけではありません。登記の回数も申告の回数も同じです。見積もりの差が出るのは、資産・負債・契約がどれだけ残っているか、債権者が何者いるかのほうです。

破産を選ぶときの費用は、裁判所に納める予納金が別にかかる

払いきれないことが明らかで破産手続開始の申立てをする場合、通常清算とは費用の形が変わります。東京地裁民事第20部が公表している「破産事件の手続費用一覧」(令和5年4月1日現在)では、法人の自己破産の申立手数料が1,000円、法人管財事件の予納金基準額が最低20万円および法人1件につき14,786円とされています。債権者が申し立てる場合などは負債総額に応じた基準額の表があり、法人で負債総額5,000万円未満なら70万円です。

同じ資料に「予納金額は、事案に応じて変更される場合があります」と注記があります。金額も扱いも裁判所ごとに違うので、申立てを考える段階で弁護士と管轄の裁判所に確かめてください。ここに挙げたのは、費用の桁を知るための一つの裁判所の基準です。

税務:解散の日で事業年度が区切られる

解散すると、事業年度がその日で区切られます。内国法人が事業年度の中途において解散(合併による解散を除く。)をしたときは、事業年度はその解散の日に終了します(法人税法14条1項1号)。続く事業年度は解散の日の翌日から始まり、清算中の事業年度になります。清算中の法人で、残った財産の額が年度の途中で確定したときは、その確定の日に事業年度が終わります(同項5号)。

確定申告は、各事業年度終了の日の翌日から2か月以内です(同法74条1項)。残った財産の額が確定した事業年度だけは、1か月以内に縮まります。さらに、その1か月のうちに最後の分配や引渡しをするなら、期限はその前日までです(同条2項)。最後の分配を先にしてしまうと申告の期限が前に来るので、順番を税理士と決めておきます。

税務署への届出も要ります。解散したとき、清算が終わったときは、異動届出書を出します。出す先は、異動前の納税地の所轄税務署長です。時期は「速やかに」とされています(国税庁の手続案内。手続根拠は法人税法15条・20条、同法施行令18条)。消費税の事業廃止届出書、給与支払事務所等の廃止届、社会保険の適用事業所全喪届、労働保険の確定保険料申告など、税務署以外も含めた提出先ごとの一覧は法人の廃業手続き一覧の記事にまとめています。都道府県と市町村にも同じ趣旨の届出が要るので、窓口に確かめてください。

たたまずに置いたときに起きること

株式会社には、最後の登記から12年たつと法務大臣が公告し、2か月以内に事業を廃止していない旨の届出をしなければ、その期間の満了の時に解散したとみなされる定めがあります(会社法472条1項)。この定めは特例有限会社には適用されません(整備法32条)。持分会社にも同じ定めはありません。だから、何もしなければ登記簿に残ったままです。

残り続けるあいだ、申告の義務と法人住民税の均等割は続きます。登記すべき事項を登記しないままにすると、清算人や持分会社の業務を執行する社員、取締役などが100万円以下の過料の対象になります(会社法976条1号)。みなし解散された後の扱いと、休眠のまま置くという選び方は会社をたたむ手順と期間の記事にまとめています。

取り違えやすいところ

株式会社向けの手順をそのまま当てると、添付書類や決議の要件で登記が通りません。調べて出てくる説明のほとんどが株式会社向けだからです。下の6つは、条文を並べると見つかる取り違えで、どれがいちばん多いかを数えた資料はありません。

  • 合同会社に、株主総会議事録 → 要るのは総社員の同意書(株主リストは持分会社にはない)
  • 「有限会社」の解散を議決権の3分の2で → 頭数で半分以上、かつ総株主の議決権で4分の3以上
  • 株主が1人だから株主リストを添えない → 319条1項のみなし決議も対象(商業登記規則61条3項)
  • 合同会社の定款に相続の定めがないまま → 社員が1人の状態が続く
  • 払いきれないのに、先に役員借入金を返す・残りを分配する → 過料と、破産管財人による取戻し
  • みなし解散で消えると思って、登記をそのままに → 合同会社と「有限会社」には、その定めがない
取り違えやすい組み合わせ
  • 合同会社に、株式会社の決議と書類をあてる
  • 特例有限会社に、通常の株式会社の決議要件をあてる
  • 合同会社・特例有限会社に、みなし解散や特別清算をあてる
  • 分配と申告の順番を決めずに進める

次にやること

登記事項証明書を取り、会社の種類と最後の登記の日を確かめます。あわせて定款を出し、存続期間、解散の事由、清算人、持分の相続(合同会社の場合)の定めがあるかを見ます。この2つで、誰の同意が要るか、官報の公告が要るかが分かります。

それと並べて、いま残っている借入・買掛金・リースと、会社の財産を書き出します。払いきれそうかどうかで、この記事のどちらの道を読むかが変わります。決議の要件と登記の添付書類は法務局と司法書士、申告の時期は税理士、債務の見通しと保証は弁護士に、それぞれ確かめてから進めてください。

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よくある質問

有限会社をたたむ手続きは、株式会社と同じですか?

清算の流れは株式会社と同じです。社名に「有限会社」と付く特例有限会社は、法律の上では株式会社として扱われるからです(整備法2条1項。商号に有限会社の文字を用いるのは同3条)。違うのは次の4つです。

解散の決議が、総株主の半数以上であって総株主の議決権の4分の3以上であること(整備法14条3項)。

休眠会社のみなし解散が適用されないこと(同32条)。特別清算を使えないこと(同35条)。

決算の公告の規定が適用されないこと(同28条)。なお、特別清算が使えないだけで、払いきれないことが明らかになったときに直ちに破産手続開始の申立てをする義務(会社法484条1項)は、特例有限会社にも適用されます。

合同会社の解散に、官報の公告は要りますか?

要ります。会社法660条1項が、合同会社について債権者への官報の公告と、知れている債権者への各別の催告を求めています。申出の期間は2か月を下ることができません。同じ持分会社でも、合名会社と合資会社にはこの定めがありません。ただし合名会社・合資会社が任意清算を選んだ場合は、解散の日から2週間以内に官報へ公告し、異議の期間を1か月以上とる必要があります(同670条2項)。

社員が1人の合同会社でも、総社員の同意が要りますか?

要りますが、その1人の同意が総社員の同意です。日付と内容を書いた同意書を作り、登記の添付書類にします。株式会社や特例有限会社で株主が1人の場合は、株主全員の書面による同意で決議があったものとみなされ(会社法319条1項)、その書面を10年間本店に備え置きます(同2項)。この場合も、登記には株主リストを添えます(商業登記規則61条3項)。

借入が残っていても、通常の清算で進められますか?

財産を売って全部払いきれるなら、通常の清算で進められます。払いきれないことが明らかになったときは進められません。清算人は直ちに破産手続開始の申立てをしなければならず(会社法484条1項・656条1項)、申立てを怠ると100万円以下の過料の対象です(同976条27号)。債権の申出期間内の弁済(同500条1項・661条1項)と、債務を払う前の分配(同502条・664条)も、同じく過料の対象です(同976条29号・30号)。判断に迷う段階で弁護士に確かめてください。

登記をしないで放っておけば、会社は消えますか?

消えません。最後の登記から12年で解散したとみなされる休眠会社の定めは株式会社の規定で(会社法472条1項)、特例有限会社には適用されず(整備法32条)、持分会社にも同じ定めがありません。放置しているあいだも申告の義務と法人住民税の均等割は続き、登記を怠れば100万円以下の過料の対象になります(会社法976条1号)。

清算が終わった後、帳簿は誰がいつまで保存しますか?

清算結了の登記の時から10年間です。保存する人は種類で違います。清算株式会社と特例有限会社は清算人で(会社法508条1項)、別の人に移せるのは裁判所が選任した場合だけです(同2項)。清算持分会社は清算人が原則ですが、定款で、または社員の過半数をもって別の人を定めることができます(同672条1項・2項)。誰が保管するかを、清算結了の登記の前に決めておきます。

出典・確認日

  1. e-Gov法令検索|会社法(309条2項11号・319条・471条・472条・478条・484条・499条・500条・502条・504条・507条・508条・511条・641条・647条・656条・660条・661条・664条・666条・667条・668条・670条・672条・833条2項・926条・928条・929条・976条1号/27号/28号/29号/30号) ↗確認日:2026-10-31
  2. e-Gov法令検索|会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(2条1項:株式会社として存続、3条:商号、14条3項:株主総会の決議の読み替え、28条:計算書類の公告等の適用除外、32条:休眠会社のみなし解散の適用除外、35条:会社法第二編第九章第二節=特別清算の適用除外、43条2項:清算人の登記の特則) ↗確認日:2026-10-31
  3. e-Gov法令検索|商業登記規則61条3項(株主リスト。319条1項のみなし決議も対象) ↗確認日:2026-10-31
  4. e-Gov法令検索|登録免許税法 別表第一24号「会社又は外国会社の商業登記」((1)イ・ハ・ロ:設立、(1)レ:解散=3万円、(3)イ:清算人・代表清算人=9千円、(3)ハ:清算の結了=2千円、(3)ニ:清算に係る変更・更正・抹消=6千円) ↗確認日:2026-10-31
  5. e-Gov法令検索|法人税法(14条1項1号:解散(合併による解散を除く。)の日に事業年度が終了、同項5号:残余財産の確定の日、74条1項・2項:確定申告の期限) ↗確認日:2026-10-31
  6. 国税庁|C1-8 異動事項に関する届出(法人の解散・清算結了を含む。提出時期は異動等後速やかに、提出先は異動前の納税地の所轄税務署長。手続根拠は法人税法15条・20条、同法施行令18条) ↗確認日:2026-10-30
  7. 東京地方裁判所民事第20部|破産事件の手続費用一覧(令和5年4月1日現在。法人自己破産の申立手数料1,000円、法人管財事件の予納金 最低20万円および法人1件につき14,786円、債権者破産申立て等の基準額表) ↗確認日:2026-10-31
  8. 経営者保証に関するガイドライン研究会|廃業時における「経営者保証に関するガイドライン」の基本的考え方(令和4年3月。全国銀行協会サイト掲載) ↗確認日:2026-10-31

制度の対象・期限・地域ごとの扱いは、必ず最新の公式案内でご確認ください。本文は一般的な情報と、資料を整理する手順です。個別の法律や税金の判断はしていません。